言葉は影

入浴補助用具というものを販売することがよくあります。
代表的なのは洗い場で使用するシャワーチェアなんですが、この商品、メーカー、機種ともに多数あります。
構造、機能、サイズが多岐に渡り色違いまで含めたら100種はくだらない。
なので、シャワーチェアの相談を頂いたときには、ヒアリングと浴室環境と利用者のADLである程度絞り込んでから商品をご提案しています。
安全にお使いいただける機種であればどれでも良い、というところまでは絞り込むようにしています。
デザインやカラーは、特に見難い色が無いのであれば好みで良いと思います。

色は、心理的に影響を与える場合もあるので極力選んでいただきたいと思いますが、それでもどれが良いかと聞かれることは多いです。
フラットな状態で先入観なしに単純にオススメするカラーは緑です。
理由はいくつがありますが、大きな理由は二つあります。
一つは、男は青、女は赤という固定概念が嫌いだからです。
情熱の赤、男が身に付けたっていいですよね。
戦隊モノのリーダーとか赤い彗星とか、赤い男が活躍する場面は多いのだから。
赤ヘルは除きますが。
クール・ビューティでカッコいい女性だっているじゃないですか。
デニムや藍染めが似合う青い女性が活躍してますよね。
くだらない固定概念を押し付けるようなオススメはしません。
なので、そうした性の観念から外れた、フレッシュで癒やしの緑を勧めています。
更に、ユニバーサルデザインが求められる昨今に男女兼用のユニセックスのデザインやカラーは必須です。
赤青緑の3色なら緑はユニセックスに該当します。
実際、緑を気に入ってくださる方はたくさんいます。
緑を勧めて、赤や青を選ぶならそれで良いですし。

今日もそんなシャワーチェアのご依頼をいただいて、やはり色の話になりました。
緑をオススメする段になり話していると、利用者と家族の反応がどうにも鈍い。
さっきから何言ってるんですか?と少しキレられる始末。
おや?と思って、少し慎重になって話を続けていたんですが、途中で気づきました。
僕、ずっとセックスレスって言ってたみたいです。
焦るし慌てたし恥ずかしくて取り繕って訂正して言い間違いとわかってもらえて笑えて良かったです。

言葉には気をつけないと。
いや、焦りました。
そりゃ、コイツ何言ってんだってなりますよね。
冷や汗が止まらなかったです。

今時の言葉なんて血肉化してないですからね。
慣れないことはするもんじゃないですね。
クソっ。

ユニバーサルデザインが中途半端と批判されるのもよくわかります。
身にまとうものなどでは、身体の作りや大きさも違う男女で兼用ってのは難しいです。
中立好きの僕ですら無いわーと思うことがよくあります。
まぁダイバーシティはまだまだ黎明期。
批判に晒されなければ良いものなど産まれません。
これからです。

しかしまぁ、男は青、女は赤って染み付いてますね。
なんかの実験で、公衆トイレのマークに男のシルエットで赤、女のシルエットで青というのを用意して利用者が正確に判断できるかというのをやってみたら、色に引っ張られるってのがわかったみたいです。
対象者が大人だったからしょうがないんでしょうけど、子供だったらどうなってたでしょうね?
子供でも騙されるのなら固定概念ではなく別の話になりそうですね。
脳科学の出番でしょうか。
茂木さんはすぐムキになるから中野さんにお願いしたい。
なんかそんな実験は既にありそうですね。

そんなこと言いつつ僕は青が好きです。
僕が自分で使うシャワーチェアを選ぶなら青ですね。