ゼロの侍

SLが空を走ったり、船が飛んだり。
実際に人類が宇宙を目指す現代に、既存の乗り物そのままの姿で行こうと考える者はいない。
SLや船は、上京して夢を追いかける当時の若者には自身の物語と重ねることができたのだろうか。
心を掴んだのだろうか。

幼少期に松本作品を観ていましたが、怖くて仕方がなかったです。
なのに見なければいけないような強迫観念にとらわれていました。
僕が子供のころのアニメには怖さがありました。
不条理で退廃的で絶望的で。
そんな世界観でのヒーローはぶっ飛んでいなければ成立しないから、ありえない設定とちゃぶ台返しの奇跡を起こす。
もう破綻してますよね。
でもそれがよかった。

晩年は作家の著作権保護活動に熱くなって見てられなかったですが、どうもアーティストが語りではなく現実的な生々しい議論に参加すると作品の世界観が壊れて良くないですね。
大事なことなのはわかりますが。
どうやら自分の作品の権利を自分の子孫に渡したいと思っていたそうな。
親が残した作品の権利で暮らすなんて、僕だったら吐き気がします。

残した作品までは汚れない。
もう一度、作品を観直したいです。