僕らが扱う福祉用具はとても厳しい検査基準をクリアして市場に流通しています。
テクノエイドという協会が全て管理していて検査をクリアした物にはタイスコードという番号が発行され、全て管理されています。
極稀にリコールは発生しますが、それはそれでしっかり追跡調査をして然るべき対応をしています。
それだけのことを全てのメーカーは責任として果たしています。
僕はモノ作り出身なのでメーカーのその品質へのプライドと責任はよく理解できます。
モノ作りはよく検査と対立します。
検査官というのはデータで無慈悲に冷徹に無感情にただ事実として問題を上げます。
それが作られるまでにどれだけの苦労があったかということに配慮はしません。
それが第三者機関なら尚更です。
作り手は自分たちの苦労を一蹴されて腹を立てますがそれは一時のこと。
ちゃんと問題と向き合い改善して全てをクリアして虎の子を世に送り出します。
例外はあっても、日本メーカーの製品は簡単には壊れません。
ユーザーは身銭を切るので自身で扱うものは大事にします。
福祉用具の利用者はレンタルで利用する方が多いですが、日本が貧しかった頃をよく知っている高齢者はモノを大事にします。
借り物なら尚更で、雑に扱うことなどほとんどありません。
流通や小売はモノ作りを軽視する傾向が昔からあり、雑に扱ったり安売りしたりします。
いつだったか、配達業者がお届け物のダンボールをぶん投げてる動画が公開されて問題になったりもしました。
僕は商品を安売りしたくないのには、まず商品の価格はそもそも適正で値下げする必要はないということがあります。
人金物が動いてそれらに適切な費用が発生し、それで設定された価格です。
安くして利益が減った分をどこかで埋めるとなったらサービスの質と人件費になってしまいます。
それでは本末転倒でしょう。
モノを扱う者にも心構えというモノが必要です。
先日、あるケアマネさんから、ある利用者さんの歩行器に異常があるから対応してほしいと連絡を受けました。
ご家族に確認してみると車輪が外れているという。
そんなまさかと思いながら替えの歩行器を用意してすぐに交換に伺いました。
見てみたらびっくりです。
本体と車輪を接続するパーツが折れています。
こんなことってない。
何があったのか聞いてみると、デイサービスから帰ってきたらこうなっていたと。
こんなにボッキリ折れるなんて普通のことではありません。
何か機械的な力が加わらないとこんなことにはなりません。
ご家族が受けた説明では、利用者さんを送りの車に載せた後、歩行器を積んだ時点では正常だったそうです。
ご自宅でご本人が降りる際に歩行器を取り出したらこの時点で壊れていたと。
この車両の中で何があったかはわかりません。
想像できることはいくつかありますが実際のところはわかりません。
このことについてデイサービスとのやりとりをしましたが、とても不愉快な思いをしました。
空しくなります。
福祉用具は簡単には壊れません。
壊れてはいけないんです。
馬鹿にしないでほしい。
人のもの壊しといてしらばっくれんな。
クッソ。
モノが軽視されてることがよくわかる。
でも、モノ作りを貶めたのは大量生産というモノ作りの体制そのものにあるのが本質だと思います。
大量生産の仕組みの中ではモノ作りという意識と情熱を持つのは難しい。
それでもみんながんばってんだけどな。
さて。
呑むか。
怒りも虚しい