ラスト・ワン・マイル

マイル、と聞いてピンとくる人はどれくらいいるのだろう。
距離?
速度?
JAL?
僕は全くピンときません。

一般的には距離なのでしょうか。
いや、JALのマイレージ・ポイントかもしれない。
WBCでは、100マイル投げる投手なんて言葉が飛び交っていました。
160kmに換算できるようです。
マイルをキロに換算する早見表がベンチのジャグに貼られていたのがちょっぴり話題になっていましたね。




どうやら日本人は早見表が好きらしい。
僕も使ってます。


特にインチ→メートルはいくらやっても脳に定着しないので手放せません。
車椅子のパンク修理を依頼されたのでタイヤとチューブを仕入れましたが、車椅子だけでなくあまねく全てのタイヤがインチでサイズが決まってるくせに、交換用のタイヤを調べるとメートルで表記されてるなんてことはたまにあります。
まあ、メーカーが違うからなんですが。
めんどくさいったらない。

単位や規格というものは統一されている方が便利に決まっているのに、そうできない背景には何があるのでしょうか。
インフラに組み込まれていたり独禁法だったり色々とあるのでしょうが、なにより、習慣に根付いたものを変えることは難しいのでしょう。
変えられる側からしてみればこっちに合わせろと言いたくなるでしょうし。
かつて秀吉が枡を統一した太閤検地は偉業と言えるかもしれませんね。

馴染みのないマイルですが、僕らのポチ生活を支える宅配業のアンカーはラストワンマイルを担い、豊かな生活と社会を支えてくれています。
そのドライバー達が悲鳴をあげていますね。
僕らもわがままなもので、当日出荷、送料無料、当日再配達など無理を押し付けたりしています。
エンドユーザーだけでなく荷主などの取引先からの要求も厳しさを増しています。
楡周平の筆が熱い。
体制が大きく変わるようで働き方も収入も激変しそうです。
稼げさえすれば多少の長時間労働は受け入れている人は多いと思いますが、それすらも出来なくなりそうで困ると知人からも聞いています。

働き方改革は、長期的に見たら良いことなんでしょうが、一時的に生産が落ち込むのは明白でそれの割を食うのは誰かというのもまた明白。
辛い役回りを負うのはいつも同じ世代と世帯。

この手の問題が大きくなると必ず現れる自己責任論。
給料下がったのは自己責任。
失業しても自己責任。
就職・転職できないのは自己責任。
病んだのは自己責任。
自己責任で死ねだと?
ふざけるな。

困っている人を突き放す論調の前触れには、現状の突破力を求めることがあります。
それはサインなのですぐに撤退するべきです。
尻尾巻いてダサくたってずるくたって情けなくても逃げるべきです。
抜け駆けに気を病む必要はありません。

選べない人生を歩む人ほど自己責任を押し付けられています。
突破できるタフな人が一定数いて、アイツを見習えみたいになるから、論は補強されて激しさを増してしまいます。
実際、怠け者が多いのも事実で、過激な論調が正当性を持つこともあります。

今、社会が大きく変わろうとしています。
仕組みが変わっても馴染んだ常識を変えるのは難しいものです。
気持ちが追い付かないこともあるものです。
波に乗れない人は必ずいるしその気がない人もいるはずです。
会社や社会はどこまでフォローできるのだろう。

今日も荷物を待つ僕は2024年問題をスルーできません。
何ができるわけでもないですが問題をしっかり把握しておきたい。

宅配ドライバーには感謝しかない。
今日もありがとう。
明日もよろしく。